【人】 おかえり 御山洗>>107 宵闇 「無事じゃなかったら、今頃学生たちの非難の的だったかもね。 小川で冷やしてきたんだ、こういうの都会じゃ出来ないしさ」 懐かしいよな、なんて言いながらさくさくとスイカを切り終える。 果汁のついた手をタオルで払うと、同じようにスイカを食べ始めるだろう。 冷えた果肉は歯ざわりもよく、不思議ととても甘く感じる。 「そうだな。瑠夏も変わらないし、やりとりを聞いて懐かしくなったよ。 離れてても、みんな元気してるんだなって……しみじみしちゃったな」 みんなに挨拶して回る人気者の姿は、村に新しい風を持ってきたときのようだった。 ああして話しかけている様子も、それを揶揄しながらなんだかんだ一緒にいる様子も、全部懐かしい。 「俺はぼちぼち。 ……あれ、でも。翔はデビューしたんだろ?」 (111) 2021/08/10(Tue) 1:57:24 |