【人】 魔法使い ミンナ・コンスタンツェ[自身の憤りが確かに伝わって、彼も驚いた顔になる。 あまり表情に出さない彼でも分かるくらいの表情の変化は、 それだけに飽き足らず、目を丸くしていたものが、 ミンナの言葉で、逡巡に変わっていった。 言い淀む声に視線を向けながら、彼の様子を伺う。 困っているのか、言葉を探しているのか。 彼が見上げた先には、ただ、木の葉がゆらゆらと風に揺れていた。 少しの間、沈黙が訪れた。 私もなんて言葉にしていいか分からずに。 彼も私との距離を測りあぐねるように。 沈黙を破ったのは彼のほうが先で。 そよいで行く風にのって彼の声が届いてくる。] (113) 2022/05/21(Sat) 13:29:38 |