【人】 羽井 有徒[ひとりきりで自分の部屋へと戻る。 二つ下の階、それだけの距離なのにふたりだけの時よりもずっと遠くに感じられた。 随分と熱を上げている。 浮ついた気持ち、それを心地よいと思う心。 本当に、思春期の男子かって。 苦笑いもどこか柔らかな笑み。 部屋でベッドに身を転がしていれば、メッセージの着信を報せる音。手を伸ばしてスマホの画面を覗く。 『おやすみまた明日』 その、たった八文字に明日を楽しみにする気持ちを乗せて、送信の文字をタップした。]* (113) 2020/08/01(Sat) 22:48:10 |