【人】 “観測者” 処暑[ さて。私が彼女に声を掛けた時、 律儀に同じ説明を繰り返す彼女に対し、 私はというと、粒餡と漉し餡、好みのものを、と言われた時に、一瞬動きを止めた。 こだわりがない故に、そう言われてどうすれば良いのか分からなかったからである。>>19 表情は変わらずとも、内心では迷った末に粒餡のものを取った。 ] ………………いえ お気になさらず [ 私としては、対象をじっと見つめるのは常のことであるけれど、 立春の彼女は私の気質を知らないのではないかということは、頭になかった。 故に、笑顔で見つめ返す彼女に対し、全く気にせず見つめ返して、 それから彼女が疑問の言葉を口にすれば、否定を返す。 彼女に用がある訳でもないし、特段伝えたい事もないのだから。 此方から見つめておいて気にするなとは、聞く人が聞けば怒りそうではあるけれど、不躾という思考はとっくに私にはない。 先代と特別親しかった訳でもないし、何より灯守りの代替わりとは起こりうるもの。 まだ頼りない新立春、というのが事実だとしても、私はそれすらも興味深く見つめるだけであるし、 ……私は彼女に対し、期待してる、という感情があるのだと思うし。 それで余計に、目を遣ってしまうのかもしれないが。 ] ………………はい [ 感想を、と直接言われれば、熱烈な感想を伝えられないことを少々後ろめたく思いながら、>>19 暫くの沈黙のあと了承して、その場を離れる。 ] (114) 2022/01/24(Mon) 22:31:36 |