【人】 龍之介[逸る気持ちで荷を下ろし 背負い籠だけになると 二拾尺、いや三拾尺はありそうな樹を登り出す。 途中、何度も足を滑らせて ひやりとしつつも どうにかこうにか辿り着けば 鈴なりの豊かな実りが待っていた。 (ああ、よかった…!!) 空が薄っすらと染まり始める中 熟している房だけを選び 手早くもいで籠に入れていく。 山盛りとは言えないまでも それなりの量を確保して降りる頃には 空だけでなく 指先も赤く染まっていた。] (116) YA'ABURNEE 2021/06/24(Thu) 23:51:13 |