人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>115

「俺は変わっちゃいねえよ。周りが自分よりガキばっかりになっただけだ。
 だから面倒を見てやらなきゃいけない数が増えた、それだけの違いしかない」

自分が、自分たちが若い頃も、自分より年少の人間は面倒を見てやった筈だ。
その数が増えただけ。目下のように振る舞う機会なぞありはしない。
それでも、根底にあるものは変わらないままだ。

哄笑を聞いて、ひとたび眉を顰めて。それから、また仕方なさそうに口角を吊り上げた。
次第にそれは同じような高笑いに変わって、港にどうしようもない馬鹿笑いが響いた。
笑えば傷がずきりと痛む。体の震えに伴って新しく血が吹き出した。
そんな無粋の一つ一つが、奇妙な高揚の後ろに押し流されていく。
頭の中が晴れていくような清々しい興奮が、片方だけの瞳を爛々と輝かせた。

「――葉巻はゆっくり吸うもんだろ、小僧。
 ……だから此れはお前が台無しにしたことにしてやる」

親指が下から葉巻の胴を弾いた。燻った珈琲やナッツのような香りが舞う。
手元から離れた一本がくるくると回転しながら地面に落ちていき――

トッ、と小さな音を立てて路面にぶつかる。
それを合図とするように、車に体重を殆ど預けて予備動作を消して、
右足を大きく振り上げて蹴り上げた。距離が足りれば体の中央、
そうでなくとも当たれば顎は刈れる。

#BlackAndWhiteMovie
(116) 2023/10/01(Sun) 10:14:07