【人】 四谷 隆史[みっともない俺を静かに見つめるセキさんの目は 責める色は微塵もなかった そのことが苦しくて、悲しい 命を不要と断じて流したことを 肯定されてしまったことも それをよりによってあなたに、肯定させてしまったことも どれもが俺の心をずたずたに切り裂いたのだ それと同時に、心が流す血で再び俺は 歩みを行うことができるのだけれど] ……セキさん。 [それでも、ごめんなさい。 貴方に言わせてしまったこと、あなたの前で 吐露したことを謝罪し、 肩口からの手が離れ、己の片腕を掴む手に 導かれるまま、病棟内を歩くんだ。] (116) 2022/08/12(Fri) 17:35:22 |