【人】 1年生 朝霞 純【現在・特別展にて、もう一人の工藤さん】 >>113 [でも、工藤さんが絵の中に飛び込んでくれたお陰で、私の前には肖像の彼女が現れて、話し始める。>>112 彼女のスーツの胸に当てられた複雑な模様の入ったハンカチは、確かに彼女のいった通り、ワンポイントに差し色が入ったような形に見えて、可愛かった。] 確かに、綺麗に見えますね。 [彼女の言葉からして、工藤さんと目の前の工藤さんは、多分同一のようで違って、違うようで同一の存在なのだろう。 二重に似て非なる存在。ちゃんと状況を説明してくれる律儀さは両方よく似てる。 彼女に話したかったことを聞かれて、私は言い淀む。 さっきまでスムーズに話せていたのに。 それは話したくない、ではなくて、話すのが恥ずかしいって気持ちだったと思う。 恋愛相談みたいで、ちょっと、恥ずかしかった。] 私、その、人への好意の区別がつかなくて、違いがよく分からなくて、それで人を傷つけてしまって、工藤さん、好きな人いらっしゃいますか? [何故問いかけをしてしまったのか、よく、分からなかった。] (116) 2022/09/10(Sat) 20:52:32 |