【人】 翠の星 クロウリー[しかし、穏やかとは言い難い朝。 かつて悪魔と契約した魔術師である私には、見えぬものが感じ取れた。 森に踏み入った人間の人数を瞳を閉じて数えていた時、 ────後頭部に銃口が押し付けられ、口角を上げた。 この部屋にいるのは魔術結社の主宰と、その秘書だけ。 なるほど、もう随分前から間違えてしまっていたようだ。] 今更私を差し出せば神に受け入れられるとでも思うのか それとも、……我々はもう用済みということか? だとすれば悲しいことだ 我が友は同胞の心の裏切りに気づきもせず逝ったのだろうね [国の危機は人間の心の隙間を突くには最適であると、 一層にあの方の喜ぶものを献上出来る機会であると認識したが 驕り過ぎていたことは認めなければいけない。 半端な志を持った結社の寄生虫や入り込む鼠だけが 内側から米袋に穴を空けるわけではない。 この男は死者の団体を引き継ぎより大きくしていくことだろう。] (122) 2022/05/18(Wed) 21:31:41 |