【人】 3年生 武藤景虎────先輩のお葬式の日──── [先輩のお葬式の日。 黒のスーツをクローゼットから出して準備をする間も、どういった心持ちで参列すべきかわからずにいた。 あの時、夢の中の美術館で先輩にはお別れをしたから。 届いたかはわからなくても、あれがオレにできる最後の見送りだと思っている。 あの夢が慈悲で、先輩の望んだ時間だったならば、此処に先輩はもういないと感じているから。 だって、まだこちらにいるのならこの世に未練があるってことになりそうだし。 もしそうだとしたらあの時間は、とか。 どう考えてもオレの勝手な願望と解釈にしかならないのはわかっているけど。] (122) 2022/09/17(Sat) 18:25:30 |