【人】 ローグ ギュルセル[名を問われると揶揄うような笑みを浮かべて、男はテンガンの頬を撫でた手で顎の骨に触れた。拒まれなければ耳までゆっくりとなぞっていくだろう] ギュルセルだ。 手配書ぐらい見な、間抜けめ。 [彼が手配書を真面目にチェックする冒険者なら、助けを求める相手に男を選ぶことはなかっただろう。 それがなかったからこそあの時平和に別れられたのだろうが、それでも男はそのことを咎めた。 力に生きる者だからこそ、関わってはいけない敵は覚えておかねばならないのだと。 話しながら太腿を直に撫でていく手を感じると、男は撫でられるのを嫌がるかのように脚を引き、片膝を立てた。 もう片方の脚は床に投げ出したまま、空いた片手を腰に下げたロープに伸ばす。 魔力を込めたそのロープ>>0:26は、男の身体が触れてさえいれば男の意のままに操れる代物だが、見た目と強度はごく普通である。 男が瞬風と呼ばれるほどの手際を得たのはこのロープのおかげであった]* (124) 2021/05/05(Wed) 21:24:58 |