【人】 ??? 工藤美郷──朝霞さんと── [ハンカチを褒められて、女は口の端を綻ばせた。 鑑賞物としてのプライドを守ってくれた、一枚のハンカチ。 それは、真実に気づきながらも優しい嘘をついてくれた朝霞との、工藤には無い絆。] 静かな絵には話せても、喋る私には話せない? まぁ、分かる気がするけどね。あの子もそういうところあるから。 [それでも恥ずかしそうに話を続けてくれれば、「んー」と口元に手を当て、少し考えるような仕草をした。] どうだろう。好きなのかなぁ。 でも、そうだな。気になる人はいる、かな。 [そう器用にはぐらかすと、] ね、聞かせて。朝霞さんのこと。好意の区別がつかなくても、何か心に引っかかるものがあるから悩んでいるんでしょう? [問いかける言葉は、決して揶揄する響きはないけれど。 最後ぐらい、ガールズトークを楽しみたい。 どこかでそんな望みもあった。きっと、工藤にはできないことだから。]* (124) 2022/09/10(Sat) 21:13:05 |