【人】 おかえり 御山洗>>114 鬼走 放射状に切られたスイカを皿の上にころころと並べてその横には大祓の店のラムネが鎮座する。 真夏の風流の絵図めいた一角を作っていた男は、懐かしい声にぱっと顔を上げた。 「雅也さん、来てたんですか。 もう俺たち年長の頃の人は、難しいと思ってたんですけど」 簀垂れがかった前髪の下で、なんだかむずがゆそうな笑みを浮かべた。 自分たちより歳上なのは鬼柱や夜長くらい、後は村に居着いてる人が多かった。 或いは他所に家庭を持って、なかなか盆でも帰るのが難しい人ばかりだ。 「来てくれて、よかったです。雅也さんもスイカどうですか」 (125) 2021/08/10(Tue) 8:08:29 |