人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>125

数度に渡り拳が頭部を殴りつける。頭を上げはしない。
上げられないのは顎を打たれるのを厭んで、頭蓋の丸みで受けているからだ。
それだって苦し紛れのやり過ごしであって、ガードしたほうが良いのは確かだ。
顎を引き、狭い視界で相手の拳の動きを潜り込むように見遣る。
それでもまだ尚眼光は諦念を宿しては居なかった。
いつも日常を過ごし、他人と過ごしている時よりもよほど活き活きと殺意に燃えていた。

「っ、づきは」

攻め手を変えた動きを、見ていた。
ふらつく頭をどうにか押し戻し、屈めた姿勢は蹴り"に"立ち向かった。
傷ついた左手が脛を掌底で受け、浮き上がらせた膝の下に肩を半ば差し込む。
重心を上にずらさせながらに踏み込んだ体は右肘を前に出して滑空し、
全体重を肩から肘の上腕筋に乗せて鳩尾めがけて倒れ込むような、
頭上まで持ち上げない形のパワーボムだ。

「地獄か、――」

日の頂点の沈みつつある、海の音が近かった。
踏みとどまることが叶わなければ互いの体は、海の中へと落ちる。

#BlackAndWhiteMovie
(126) 2023/10/01(Sun) 18:47:05