【人】 元子役 辺世 流父親への見解は、珠梨さんは概ね同意しているみたいだった。 何か含みがありそうな気もしたけど、深くは聞き出さない。 仲は悪くなさそうなのは伝わってきた。 ふと、無意識に自分の親と比べての内心が漏れていたのに気づく。 「ううん、なんでもない。」 と告げて、その場はごまかし、彼女の大学での事に話題を変える。 「古文かぁ。すごいな。僕は苦手だった。 ありをり…なんだっけ。もうわかんない。 数学も三角関数辺りから全然でさ。…恥ずかしいな。 経営学部って事は…珠梨さんに跡継いでほしかった、みたいな?」 その辺は、珠梨さんが話してくれる範囲で聞いたけれど、次に聞かれた事に、しばらく沈黙した。 (127) 2022/08/01(Mon) 6:17:20 |