【人】 陶酔 カナぅ、あ……っ。やだ、やだぁ……っ。 [突如声を荒げた女は、"彼"に回していた腕を解いてふらりと後退る。 そのまま二歩、三歩と離れていけば、身体を甘く苛んでいた影もまた引いていく事だろう。 その場に座り込んだ女は両手で頭を抑え、唇を戦慄かせる。 嫌な記憶を追い出そうとするように首を横に振り。] ……わ、私、わたしは、 あなたをあいして……るのに。 どうして?どうして。どうして。 どうしていっしょにいられないの? いやだよ、すてないで。 わたしをひとりにしないで。 (127) 2022/08/12(Fri) 18:11:52 |