【人】 おかえり 御山洗>>1:126 鬼走 「すみません、そうですね。俺がまばらにしか来てなかっただけかな……。 なんだか妙に久しぶりというか、懐かしい感じがするんです」 心境に変化があったり一念発起というわけでもないけれど、やけに胸の暖かくなるものがある。 同じように随分変わった(と周りから聞いた)添木と、変わらない清和。 記憶の限りよりもずいぶん大きくなった子どもたちと比べると、目の前の彼も変わらない方だ。 「あ、そうか……年少の子どもたちでも、――……むかし……じゃなくて。 駄菓子屋で自由にお小遣いが使えるより前に離れた子も多いですもんね」 それもそうだと返しかけたところで、何かがちくりと頭の内側を指したような感触があった。 おかしなことは何も言ってはいないはずなのに。 (127) 2021/08/10(Tue) 11:12:35 |