【人】 Conqueror リヴァイ[返事を待たずに制服の懐に空いた手を突っ込み、取り出したのは小さな小瓶。 とろみのある薄い桃色の液体は、コルクを開ければ甘い香りが鼻孔を刺激し、その味も似通ったもの。 良薬が口に苦いのならば、 毒 は甘美な罪の味。愛の妙薬とは似て非なる見目をした、細い飲み口に赤いリボンの結ばれた劇薬を、ゆっくりとした動きで相手の胸に押し付ける。] [世界の終末に至った際の怪物の運命は、神の食事として供されるばかりで安息など訪れることはない。 養護教諭でも解決の糸口を見いだせなかった呪いじみた病は徐々にその身を蝕み、月夜が過ぎてもひとの身体を取り戻せなくなってしまうのが落ちだった。 生きたまま獣の本能に呑まれてしまえば自我は消え去り、真の怪物として世に放たれておしまい。 最初こそそれで良いと思っていたのだ。仇さえ打ち滅ぼせればそれでいい。自分の生きる意味はただそれだけであるのだと信じ続けてきたから……] (129) 2020/11/27(Fri) 16:02:03 |