【人】 綴 千翠そんなことないです。 今だって、思い出すだけでほら こんなに心臓がばくばく… [度胸あるという言葉に、とんでもないと 首を振りながら私は思う。 昔の私なら、自分にふりかかる悪いことを考えて 動けなかった。 “誰か”を待って、都合よく誰かが来てくれれば いいけれど、そうじゃなかったら…、そうじゃなくても、 心に燻る靄が重石になっていただろうことは容易に 想像出来る。 ───だってね、もし私だったらって考えると。 やっぱり、助けて欲しいって、思うの。 辛い時に助けて欲しいと思う気持ちも、 わかっている筈なのに、見て見ぬふりをされる 気持ちも知っているから。] (132) 2022/07/28(Thu) 2:13:00 |