【人】 夜明けの ゾズマ>>106 ポルクス 「そう、なりたかった……?」 ふたりの間には、あなたの片手が制した距離だけ隙間がある。 少女は、空想の中のゾズマの存在を認めてもらいたくて ひとりの中のふたりになったから、思わず聞き返した。 そして、あの時あなたに言われたことを、思いだしていた。 「なんだか、謝られても、複雑……」 あの時は怖くて、冷静に考えられなかったけれど 「その……、あんなことするくらいまでだったのに、もう、誰かに……"殺しに来てくれなくなった愛しい兄みたいに、殺意を向けてずっと追いかけてきて欲しい"って思うのはやめたの?」 少女ひとり、未遂をしたくらいで諦めるほどの 気持ちだとは思わなかったから。 ゾズマは元の世界には帰らない。だからきっとあなたとはもうすぐお別れだ。 (132) 2021/10/28(Thu) 17:52:39 |