【人】 2年生 松本志信─美術館・屋上─ [歩いて二階に向かい、さらに上へと進んで。 『STAFF ONLY』なんて道を塞ぐ看板に向かい合っている。 手を伸ばせば触ることが出来た。 どうやらこの夢は限りなく現実に近いらしい。 だとすればきっと──] ……やっぱ、な。 [看板を端に寄せて向かった扉はいとも簡単に開いた。 金属特有の重たいギッという嫌な音を立てて 続く先、一般人は出入りしないであろう屋上に出る。 空は清々しいくらいに晴れていた。 いい景色、緑に囲まれた落ち着ける空気。 ただ、静かな中に聞こえるであろう蝉の声もなければ 飛んでいるであろう鳥の一匹も見当たらない。 そっと足を踏み出してみる。 美術館の屋上は人が来ることを想定されてないためか それとも外観を意識してか、フェンスなんてものは設置されていなくて 勿論それを承知で、ここに来た。 誰かの厚意も善意も>>132今は知れなくて] (133) 2022/09/04(Sun) 11:59:40 |