【人】 3年生 黒崎 柚樹―― 少し未来の屋上で ―― [だって、本当に、あり得ないと思っていた。 松本さんが何か茶化してきた時も、武藤はきっとそんなんじゃないだろうにな、ほら、困ってるみたいなのに……などと、明後日な事を思っていた。 好きな人に好きと言われる日が来るなんて、嘘みたい。 夢みたい。 ────いや、ここは、夢の世界、なんだけど。でも。] ………………っ。 [なんだか顔を見せられなくて、手の甲で顔を隠したまま視線を落としていたら、掴まれた肩をそのままぽすんと引き寄せられた。 背の高さ、あまり変わらない筈なのにな。 背にゆるく回った腕が案外と逞しくて、私の方が絶対トレーニングしてるのに、やっぱり男の人には根本の身体の造りからして敵わないんだよなあ、なんて、思ったりした。] (135) 2022/09/08(Thu) 22:36:35 |