【人】 かれがれ ユメカワ【廊下】 >>135 ミナイ 「半分正解で半分不正解。俺は今でも可愛いからね」 もう少しかっこいい寄りになればイメチェンしたんだけど。 なんて、君の手を引きながら少し振り向いて笑う。 宣う言葉はそう冗談でもない。素面でそういう事を言う男だ。 「お揃いがいいなら、明日香ちゃんも染めてみる? 俺手伝うよ。ちょっと差し色入れる程度なら気軽にできるし… 真っ白も明日香ちゃんに似合ってていいと思うけどさ」 ああ、でももし皮膚が弱いなら染髪はよくないかもね。 そもそも学校では十中八九怒られる事請け合いだ。 親ももしかしたら──ああ、面倒臭い。つまらない事だ。考えたくない。 別に、似合っていると言われて、そう思った格好をしているだけだから。 今はもう、『可愛い』にこだわる理由なんて何処にも無くて。 だから本当は。いつ止めてもいいんだよな、こんなの。 「身長、とかも。俺は今の明日香ちゃんのままでも好きだよ。 流石に梢ちゃんとか、麻弓ちゃんには負けるからさ。 俺が無理しないで背負えるのは多分、 今の明日香ちゃんとか鹿乃姉くらいまでだと思うし…」 掌も身長も、今は細身の女の子のそれよりはずっと大きくなって。 インドアな同年代よりは力も体力も普通程度にあるけれど、 身体が資本とされるような部活に打ち込む面々ほどではなくて。 そんな中途半端が君が転ばないよう手を引いて廊下を歩く。 (136) 2022/07/05(Tue) 11:36:09 |