【人】 黒崎柚樹[戻った武藤の記憶。 私をまっすぐ見つめてくる瞳の輝きも、抱き締めてくる腕の強さも、体温も。 全部元通りになった筈なのに、私の心の一部がどこかに置きっぱなしになっているようだった。 理由も解決法も、どころかその自覚も淡いまま、でもまずは目の前のバーベキューを楽しもうと、私はキッチンで手を動かし続けていた。 "腹が減ると元気がなくなる" >>136 のは本当のことで、武藤は過剰なまでに、"柚樹には食べ物を与えておかねばならない"と思っている節はある。] 骨付きの肉って、"肉食べてるぞー"って感じ、しない? [実際のところは可食部が少なくて見た目ほどお腹は膨れない感もあるけれど、こう、心の充足度が?違うので? それに骨際の肉って特に美味しいものだし。 ────と、料理に関しては色々出来ても、私はバーベキュー台に炭火を熾すとかは文字で読んだことがあるくらいの知識しかなかったから、武藤が手分けしてあちらをしてくれた事には、心の底から感謝した。 武藤が解らなかったら、首を捻った挙げ句、普通にキッチンで料理したものをテラスで食べる、みたいな風になっていたかもしれないし。] (140) 2023/03/06(Mon) 18:41:10 |