【人】 曳山 雄吾曳山雄吾だ。よろしく。 [ グラスを掲げ、軽く打ち合わせた。 くいと口に含むと、熟成された味わいと華やかな香気が口中に広がる。 強いアルコールは喉を灼きつつするりと食道を滑っていった。ほどなくすると、胃の腑の底あたりに小さな太陽が昇り始めるかのような熱。] 最初から奢られるわけにも、いかないだろ。 俺からも、時雨くんに何か。 マスター、お願いできるかな。 [ と、マスターが肴に持ち出す時雨の話。>>141 長い間柄なのだろう、嫌みを感じさせない距離の近さだった。] それは尚更、飲まないとな。 俺も今夜は振られたところだ。 飲めるとこまで付き合わせて貰うとするかな。 [ もっとも、俺の方は仕事の客にだ。 そう笑って、時雨が注いだ酒を口へと運ぶのだった。]* (145) 2020/07/14(Tue) 12:55:53 |