【人】 蕃神 雷恩― とある日の植物園 ― [根を張り、吸い上げる。 命をか、それとも巡るエネルギーをか。 或いは、己や植物らが生きるために必要な何かを、か。 草を踏み分ける音がする。 願いをかなえる、と。約を交わした少女ではなく 音とともに其処に現れたのは直青であった。>>148 ”メンテナンス”と桜花は呼んでいるのだったか。 己と桜花。隔日ごとに行われる夜毎の カウンセリングと体調診断のようなものの 己の割り当ては確か本日だったように思う。 現れた、直青と発せられた、言葉。 少しだけ眼差しに驚きの色は混ざるが ――それをすぐに凪がせ。 己は、彼を夜明けの色の瞳で眺める。 彼の最初の「言葉」には覚えがあった。 あの日の己の問いかけの。回答なのだろう。 その際にどうしてそれが尊ばれるものなのかということを 彼は淀みなく語り、己に説明する。] (151) 2023/11/19(Sun) 23:16:46 |