【人】 客 葉月ん、……やっぱ美味いな。 [隣にいるのが誰だろうと、この店の料理が美味いことに変わりはない。自然と頬も緩んでしまう。 そして、美味しいものを食べたなら自然と心も満たされるのだ。少なくとも俺にとって、この場所にはそういう力があった。 もっとも、彼の心持ちがいつのまにか変わったことなど俺は知らない>>129 同じ店に通っていても、言葉を交わすことは少ないだろう──彼が話しかけてくれるのなら、無視することはないけれど。 それから時折。 胸の中に薄汚い黒いものを抱えた俺は、だからこそ、自分にないものを求めるかのように、同じ店にいる彼のことを目で追ってしまうのだった**] (152) 2023/03/01(Wed) 22:17:01 |