【人】 温感喪失 バレンティン[ 「そうか」と言ったきり黙ってしまった彼には 男の状況は想像し難いものだったのかもしれない。 飲み込まれた言葉があるとは察しようが無かった。 帰るところが無いと言い張る人に 家庭を思い描くのは無理がありそうだ。 男はそれを、少し、寂しいと思った。 家族を思う気持ちを分かち合える人は 従者たちの中にどれだけいるのだろうか。 ] ……家族のために志願する年長者が 多いのかと思っていたんだがね。 [ 報奨金の使い途は、皆、それぞれ何だったのだろう。 これまで、男は誰とも話してこなかった話題だ。 ] (155) 2024/08/28(Wed) 19:39:59 |