【人】 魔術師 ラヴァンドラ下手に触れれば余計な墓穴を掘りかねない気がして、 女は静かに息を零した。 机の上へ皿を置き、椅子にゆっくりと腰掛ける。 「 ――― … 安心してよ。 それ、人魚のなにかが必要な魔術でも無いし…。 ………… …… 、 」 そこまでを揶揄うように紡いで、結局言葉が消える。 彼が考えていることは 今更そんな心配事などではないことくらい、 流石に理解っているつもりだった。 耳がぺたりと垂れて、女の視線も迷子のように彷徨い ―― それから視線を上げ、彼の顔を見詰める。* (158) 2021/12/12(Sun) 21:21:33 |