【人】 特殊NPC シトゥラ>>6:+208 サダル 「!」 青年は、目を見開いた。 「──なあ、アンタ。 声が出るようになったらさ、僕の名前を呼んでくれよ」 いつかの約束。 まだ、出会ったばかりの彼を、青年が出会って。 声の出ない彼と交わした、他愛ない約束。 「サダル」 青年は、笑って。 相変わらずの泣き虫な彼に手を伸ばす。 「アンタは本当に、泣き虫ですねえ。 きちんと寝ないとまた体壊しますよォ」 彼の涙を指で弾いて、拭う。 いつかの、別れを告げたあの日と同じような状況。 けれど、今度ばかりはさよならを告げる必要はない。 「きっと、アンタにも寂しい思いをさせましたね。 よしよし──いくらでも泣きな、今度は何処にも行かない」 青年はまた、彼を抱きしめる。 その背をゆるく叩いた。 (159) 2021/05/01(Sat) 3:09:32 |