人狼物語 三日月国

148 霧の夜、惑え酒場のタランテラ


【人】 少年水夫 カイル

 
[話が僕の手番となれば、船旅で楽しかったこと、
 大変だったこと、短い人生の中で見つけた綺麗なもの。
 そんなものを思い出しては、語っていた。

 綺麗と言えばやはり人魚の住む海域。
 海中にも潜ったけれど、カラフルな珊瑚の傍に佇む、
 人魚たちの姿は神秘的なまでに美しかった。

 幾筋も流星の駆ける夜空に、沢山のお願い事をした。
 
三回言えたけど叶わなかった……という一言は飲み込んで。


 母の愛を知らない僕に、
 子供を持つ乗客の奥さんたちが、
 とても優しくしてくれたりもした。

 嵐に見舞われ、ろくに眠ることもできずに、
 必死で耐え忍んだこともあった。
 こんな苦難を乗り越えたからこその、信頼と絆がある。

 
僕の人生は、十分恵みに満ちていたのだと改めて思った。]

 
(160) Altorose 2022/05/21(Sat) 3:34:35