【人】 白衣の アルレシャ>>152 テンガン レストラン 「謙遜なさるのね。普段質のいいものを見ているのだから、思っているよりも高貴な方に見えるかもよ。それこそ将校様みたいに……。 それとも背筋が伸びているだけで、案外胸の奥に秘めた言葉のように、ロマンティックなひとなのかしら?」 つま先をほんの少し浮き上がらせるだけのヒールは、もともと高い背を飾って更に高い。 鼻先をほんのり貴方に近づけたかと思うと、ステップを踏んでまた遠のいた。 景色のよろしい席までつくと、早速と氷細工にスプーンを入れた。繊細な繊維を潰さないように細かく大胆に削られた冷凍桃は、蜜の甘さにさらりとした舌触りを加えられている。 ひとくち頬張ってみて、ううんと広がる味覚に身を震わせた。 「おいし〜い! 船の上でこんなに贅沢なデザートが食べられるなんてっ!」 (160) 2021/07/01(Thu) 12:11:12 |