【人】 壊れた時報 キューキューは、真っ黒の真ん中から少し外れたあたりに座っていました。 真っ黒の中に、白い服と明るい色の髪が浮いています。 明かりがあるようには見えないのに、 彼の姿ははっきりと見て取れるでしょう。 誰かが部屋に入れば、誰かの姿も同じように映ります。 テーブル が恐らくある場所 の上には、蓋の開いた小箱があります。近くには一回り小さな箱……“嬉しい”気分が入っている箱。 キューは、“人を殺したい気分”の箱をもう持っていません。 『もうひとり』がどこかの次期当主に送ってしまいました。 それが開かれた事を、『もうひとり』は知っています。 彼は街で起こる“死”に敏感ですから。 つまり、『もうひとり』の記憶を有している『壊れた時報』も その事を知っているという事です。 (162) 2021/04/29(Thu) 18:40:26 |