【人】 おかえり 御山洗>>1:160 夕凪 「いいんだよ夕ちゃん、折角の帰省なんだから。 少しでも長く羽を伸ばしてもらわないと、みんな心配してしまうしさ」 もう成人してすっかり大人になったとは言っても、記憶の中の夕凪は小さな子供だったのだ。 どうしてもそれくらいの距離感で扱って甘やかしてしまうし、甘えてほしいと思う。 その先の言葉には、予想もつかなくて面食らってしまったが。 「あこがれ……まあ、そうか。学校じゃ昼休みや放課後も面倒見ていたもんな。 ……でも今の夕ちゃんに言われると、落ち着かなくなるもんだね」 春を頬に掛けたような愛嬌と女性らしい振る舞いは、改めて見るとお淑やかな印象がある。 もうあの小さな子供もおとなになったのだと、年月の経過を感じずにはいられない。 (170) 2021/08/10(Tue) 18:49:29 |