
![]() | 【人】 味覚喪失 ラグナ― 回想:神の宮での生活 ― [この施設…神の宮に来てから暫くは、生活に慣れるのに必死だった。何せ今までに利用する機会の無かった物ばかりが揃い、どれも清潔で、ともすれば扱いや使い方に幾らかの決まりがあったからだ。 物を乱暴に扱ってはいけない。不必要に個室に持ち込み過ぎてもいけない。可能な限り清潔に使う。一般常識というものが存在し、そうした中で生きてきた人間にとってはごく当たり前だろうそのルールは、常識外の暮らしをしてきた自分にとっては意識しないと難く、何度か倉庫の物や食事を持ち帰り『保管』してしまっては、神官に注意を受ける事が何度かあった。 盗られる心配も無ければ売る必要も無いのだと。 シャワーブースや浴場の設備の扱い方、入る頻度、男女で使うタイミングを分ける事とその方法。食堂でのカトラリーの扱い方も幾らか苦労した。 それらの日常がようやく整ってから、他の従者達への関心が湧き。最初に行われていただろう従者同士の自己紹介の内容を神官に再度尋ね、顔と名前とを照らし覚えた。 …幾人かの名前は覚え辛く、独特な形で呼んでしまう事もあったが。] (171) 2024/08/25(Sun) 13:40:16 |