【人】 陶酔 カナ―死体安置室― [>>167困惑を乗せた“彼”の表情に女は笑顔を湛えたまま。 >>168頬を張って妹探しに戻ろうとするのであれば、金属扉を開けるのを手伝うだろう。 怯える事もなく、無造作とも終える仕草で。 遺品の中には記憶の端に引っ掛かるものも幾つかあったが、さして興味を移す事はなく。 やがて、疲弊した様子でベッドに腰かけた“彼”が決断を下せば、女は一つ肯いた。] ……そう。 見つからなくて残念だったね。 ひーちゃんはありがとう。 [ほんの少し、眉尻を下げて。 “彼”が心配する相手に仄かな嫉妬を覚えつつ、案内してくれたヒルコに謝意を籠めた笑みを向ける。] (175) 2022/08/11(Thu) 0:00:33 |