【人】 “観測者” 処暑[ 灯守りの中にはもしかしたら、私個人の名を知っている人もいたかもしれないが、 自分から名乗る時には、それを告げることはない。 雨水の彼女の名前も公開はされていなかったはずだし、少なくとも今は、 彼女とは『真反対の季節の灯守り』と、それだけで充分なのだろう。 私はただの“観測者”であるのだし。 ]はい……そうですね ……私の領域ですか ……………… ……そうですね、機会が、ありましたら [ 私自身が向ける事は常であっても、向けられる事は落ち着かない好奇心というもの。 恐らく、社交辞令でも適当な相槌でもなく、只の素直さからの言葉なのだろうな、と推測は出来る。>>116 真反対、という事が判ったからか、彼女は私に興味を持ったらしい。 とはいえ、教えるより自身の目で見た方が良いのでは、と過ぎれば言葉に詰まった。 私は“雨水”の領域を“見て”知っているからそう思うのかもしれない。 恐らく、彼女は正確な処暑の領域の“記録”を望んでいる訳でない事には、気付かない。 であるから……私の方の対応こそ“社交辞令”であったのかもしれない。 話す気がない訳ではないが、そもそも彼女との“今度”があるのかは分からないから。 ] (180) 2022/01/17(Mon) 1:08:13 |