>>1:716 ハマル
「僕は……、」
青年はにっこりと笑う。
「食べられたらなんでも好きですよォ」
好きなものがあまりない。
嫌いなものがあまりない。
それは“すべてのものがどうでもいいから”?
ハマルの言葉は、そういう問いを含んでいる。
「特別な理由も何もない。なんとなくですよ。
嫌いなものがあまり無いというのは美徳じゃないですか?
僕はちょっと器用なだけの普通の人間ですからァ。
家族仲も問題ないですよォ!両親共々元気です」
ハマルはきっと、信じてくれる。
青年の言葉の裏を疑いもしない。
そう、信じている。