【人】 二年生 鳳 凛── お祭りの後で ── [祭りを機にあからさまに凛が落川を避けるといったことはなかっただろう。 声をかけられれば普通に話すし、用事があれば自分から声をかけた。 傍から見れば何も変わりなく、今までのような“誉め言葉”を言う事もあっただろう。 ただ、その笑顔が今までとは違い、どこか静かなものになっていることに、当人の落川であれば、気付いたかもしれない。 不必要に美術室を訪ねることはもう、なくなっていた。] …あ、楓ちゃん。 お祭りの日はありがとうございました。 あの後、お祖母さんを訪ねさせて頂きました。 ──、あの日、私、少し色々ありまして、楓さんとお話していなかったら、ひとり、だったと思います。 いえ、基本、家ではひとりで居るのですが…………、 おかしなこと、言ってますね。 何を言っているかわからないかもしれませんが、お祖母さんを訪ねるという約束に救われたんです。 顔を出した私にお祖母さんは変わらずとても良くしてくれました。 お父様も夜にも関わらず、あの頃のように試作品をいくつか持って来られて。 味見してほしいって。 (185) 2021/07/29(Thu) 17:28:45 |