![]() | 【人】 日本舞踏家 月嶺 澄翔[────そして当日。 招待席=最前列というわけではなかったものの、アリーナ後方の中央席は、前方が開けているから視界が何も遮られることのない最上席だった。 目の前にはステージから四方に伸びる花道のうち、一方が目の前まで伸びてきていて。 圭吾さんは勿論、僕も一応芸能人の端くれにはなったのだからと、圭吾さんの助言で開始直前、場内が薄暗くなった瞬間にそそくさと席に向かうことになった。 華やかな照明が落ち、場内に歓声が広がって。 4カ所、一斉に灯る各メンバーの"メンカラ"のスポットライト。 僕らの眼前の花道の向こう、床下からせり上がってきた鮮やかな髪色が悠凛……、もとい、ユーリさんだった。 直後、右側に立つ姉さんが雄叫びを上げていた。 ユーリイィィィィ──ッ!!愛してるうううううう!! 同時、左からもすこぶる良い声が、朗々と「ユーリィィィィ!」って。 いや……、え?……え?] ユ、ユーリイィィィィィ!!! [なので僕も。僕も頑張りました。僕なりに。 遅いっ!と姉さんに睨まれる言われはないはずだ。] (186) 2025/08/23(Sat) 20:58:26 |