【人】 3年生 黒崎 柚樹[彼らの事は気にしつつも、近付いてはいけない空気をも感じつつ。 松本さんに背を押された >>50 私は、でもこの時はまだ武藤の元には近づけずにいて、自分が剥いていた林檎の皮だとか、他テーブルのお菓子の残骸だとかを片付けようと動いていた……んだと思う。] ────ッ?……!! [そこに漂ってきたのは、濃密な甘い、花のような香りの……。 つい、先刻、私が嗅いだばかりの、あの甘く熟れた赤い果実の。 顔色を失って見つめたその視線の先には、横たわる津崎と、津崎に寄り添う朝霞さんと、赤に濡れる幾枚ものガーゼ >>112 。 私の指から零れたあれはやっぱり幻覚ではなかったのだと、現実だったのだと、くらりと視界が揺れる気がして、私はよろけるようにテーブルに手をついたのだった。*] (188) 2022/09/09(Fri) 6:31:32 |