>>188 ツルギ
「絶対やだね。
開けてやるにしても、お前に向ける。」
君の隣からさっさと立ち上がれば
車内に転がるペットボトルをひとつ手に取って、ほら、と君の額に押し付けた。
二酸化炭素をふんだんに含んでいて、ボトルはぱんぱんに膨らんでいる。
───取りに戻った時、しれっと何度か振り足した。
「ほォら、お前が爆走したんだから
お前がちゃんと開けて飲めよ。
……そんで落ち着いたら、帰ろうぜ。今度は安全運転で。」
そろそろ、夜も明ける頃だろうか。
箱庭の海の向こう側──薄らと闇が溶け始めていた。