[なんか。なんか律には、言いづらかった。

あの廃校舎で、秋月の次くらいに色々話してた相手だったし、男同士でセックスは無理云々みたいな事も話してたから、それがどうしてこうなった、みたいに思われるのは必至だったし。

あと、律は何かと会う機会がある奴だから、報告するならちゃんとしようって気持ちも、一応はあった。

桜輔に色々話してしまったのは、多分だけど桜輔も晴斗も男が好きってわけじゃなくて、好きになった奴が偶々男で……って仲間意識が沸いたのと、あまりにも誰にも言わずにいるのが苦しくなってきたとこだったのかもってのと、あとはまあ、その場の勢い、と。]

　っんなに笑ってんじゃねーよ。

　桜輔だってヤッてんだろ、いろいろ、どうせ。

[こいつがエロエロ大王なのは、廃校舎の一件で概ね解ってることだから、何言われても引いたりはしなかったと思うけどさ。]

　……んなアホな事言うの、あいつだけで充分だよ。

[なんかビミョーに響きが違う"かわいい"を言われ、つむじを押してくるでもなく、髪かき混ぜられて。

そんな所作１つにあいつを思い出すとか、なんか微妙にシャクなんだけど。

余計な暴露をまた１つ重ねた自覚は全く無いまま、呆れた風に桜輔の手をぱしんと軽く叩いてやった。]