【人】 図書館長 アザレア[部屋を出て行く従業員に心付けを渡して見送った。 外と隔てる扉が閉まれば慣れぬ部屋に2人きり。 雪に音を吸われた図書館とはまた別な静けさが なんとも耳に心地良い。 『窓』とも違う空間に心が踊るが 浮かれてはしゃぐ歳でもないので表には出ないだろう。 一先ず冷める前にお茶と、茶菓子を頂いて…… ほっと一息吐いてからふと、思い出したように口を開いた。 どうせ彼女しか聞くものはいないが 気恥しいので、潜めた声でひっそりと。] ところで。 ……足が死にそうなのはわたしだけだったりするんだろうか。 [日がな一日椅子に座っているわたしには 正座は難易度が高かったらしい。 なぜ行けると思ったのか。 この場の雰囲気に流され従業員を真似てみたが 既に足の感覚が危うい。 崩し方が分からなくて畳に手を着いて腰を浮かせば 子供たち相手に馬になる時の様な四足になった。 格好がつかない状況である事は 実に遺憾だがこれは仕方ない。 せめて涼しい顔をしておこうと特に顔色も変えず よぼよぼと胡座に足を組み替えた*] (191) 2020/12/28(Mon) 8:43:55 |