【人】 事務員 深瀬賢それから、淫魔は人とまぐわうことをやめて、人形に囲まれて過ごした。 ーー自らが殺した夫の似姿をした人形たちとまぐわい続けた。 そして、精力を得られなくなった事で程なく死んだという。 けれど、淫魔の執着は石像に染み付いて、今なお人形を誘惑し続ける。 この石像の周囲にある人形を、手当たり次第に自身の元へと呼び寄せるのだ。 「自分が死んだ後にまで、夫の代わりを求めるか。 私には、その執着心には悍ましさすら感じるよ。」 石像の欠けた顔へ語りかける。 (191) 2024/11/13(Wed) 22:01:58 |