【人】 朧广灯 リヒトーヴ― 回想:メディウムの一件、その後 ― [ 機械はいつも通りの巡回を行っていた。 区画の入り口に立ち、ふと彼女を思い出す。 日頃、機械は誰かと生活を共にすることはなかった。 人間の生活と、機械の生活は全く異なるもの。 加えて、己の記録装置はどうしても場所を取る。 視界を切り替える。 意識に浮かぶのは今は研究所として存在する建物。 所謂、病院風の建物は今日も静かに佇んでいる。 機械が観測できるのは、ここまでだ。 予測ならまだ幾つかあるが、 結局のところ、機械が思うのはただ一つだった。 あの娘の不自由がこれ以上増えないこと、 ただそれだけである。 ]* (192) 2023/11/21(Tue) 23:42:12 |