【人】 知情意 アマノ男は、皆がそれぞれどの程度の拘束を受けていたのかは把握していない。そのため、遠くから各位を眺める眼には拘束されていた度合いを探るような観察の色が宿る。男の襟足にある小型のユニットが思考の波を示すように時に淡く時に強く発光した。 「無礼講といえば聞こえがいいが、ある種無法地帯に様変わりとも言える。怖い怖い、おちおち夜も眠っていられない」 わざとらしく言って短く嘆息した。無法者揃いの場で末席を汚す自分のなんとまともなことか。 「……などという冗談はともかくとして。本日はこのあたりで失礼いたします」 チャンドラ様の問いかけには暫し思考してから端的に告げ、一度頭を下げてから歩き出す。自室に一度戻ってから浴場に向かうつもりだ。 (197) 2021/10/01(Fri) 0:26:09 |