【人】 触覚喪失 ベリニ― 自室 ― [朝食を摂らずに自室へ戻ると、 ベッドに身体を預けて、聞いた話を思い返していた。] [”天の神は地上に生まれる赤子の中から一人を選んで試練を課す” ”神の子が完全な存在となると、地の神となって世界を祝福する” 試練というなら、 生まれた時から感覚を持たず、持っていない事も知らず、 自分では何もしなくても、気付けば周りから全て与えられ、 『全て揃った人間』になったら、神様になるというより。 生まれた時は持っていて、喪う事の辛さが分かっていて、 それでも自分の意思で、他者に全てを分け与え、 完全『に喪失した』存在の方が、 神とも呼べる人の様な気がしてしまう。 そして、そんな人間は現れないから、 地の神は現れた事が無いのでは、とも。] (197) 2024/08/28(Wed) 23:40:03 |