【人】 兎系 ニア>>202 「もう、分かっているかもしれないけれど。 現実のわたしは、ここにいる資格なんて持たなかった。 ……人を殺めこそしていないけれど、ただの犯罪者よ」 両親に捨てられて、頼れる親族も無く。 兄は仕事にのめり込んで、ちっとも帰ってこない。 学校にも馴染めなくて、高校からは通信制の学校を選んで。 寂しさを埋めるように電子の海にとっぷりと浸かって――そうして、溺れた。 「それに、ひどい引きこもり。 モニターが家族でキーボードが友達の、つまらない子よ。 ――それでも、わたしのこと、」 「ねえ、それでも―― わたしのこと、愛せるっていうの?」 いつかと同じようなことを言いかけて、口を閉ざす。 その答えはとうにもらっている。いいえ、と呟く。 「……それでも、わたし――」 (→) (204) 2021/05/01(Sat) 15:51:52 |