【人】 1年生 工藤美郷──回想・レストランで松本先輩と会話── [吹き出された カレー 息に>>181、工藤は特に反応しない。表情の伝播が無くとも、松本先輩は笑った。] 私は優しい子だな。 [工藤は言葉を繰り返した。 嘘を疑えない工藤は、人の評価をそのまま鵜呑みにしてきた。 面倒くさい子。我儘な子。勝手な子。 そして松本先輩の言葉も信じた。 そういうところも含めて、優しい子。] 気持ちは揺らいでいます。 みんな生きてたらいい。 ですが私は泣けません。 [微笑みを目に写しながら、工藤は淡々と答えた。>>182] 泣けないまま、その一人の死を想います。 今この瞬間ではなかっただけで、やがては私も逝く所。 そこに先に逝った人のことを。 [死後の世界があるかは分からない。死んだことが無いから。 だから明確に答えが出せることだけを、見つめた。 松本先輩の瞳の奥で、見つけた。]* (204) 2022/09/11(Sun) 8:38:48 |